犬を飼おうと考えている方に向けて、犬のしつけについて基本的な情報やポイント、注意事項を分かりやすく説明します。
しっかりとしたしつけを行うことで、どこにいても愛犬と楽しい時間を過ごすことができます。
この記事では、犬のしつけのポイントについて解説します。
この記事の特別監修者 – 犬のしつけ専門家
廉
小さい頃から動物が居る暮らしをしておりその中で犬の生態を知りたいと思いドッグトレーナーを目指す。
愛犬をお世話するだけでなくコミュニケーションをとり一緒に楽しめる様にお手伝いさせて頂ければと思います。
保有資格
・公益社団法人愛玩動物飼養管理士2級
・全日本ハンドリング検定3級
・OPDESドッグアドバイザー
目次
犬のしつけって必要なの?
犬を迎え、幸せに共同生活を送っていくためには「犬のしつけ」が不可欠です。
しつけは家庭の生活に大きな影響を与える重要な要素であり、単に可愛がるだけでは人間も犬も幸せに暮らすことはできないでしょう。
愛犬が周囲の人に迷惑をかけないよう、生活に関するルールを教える「しつけ」は、犬が人間社会で生きていくために必要不可欠なものだと言えます。
犬のしつけは何歳までにするべき?
犬のしつけの適切なタイミングについて解説します。
犬のしつけに期限はない
犬のしつけには、厳格にいつまでに行いましょうといった「明確な基準」は存在しません。
最低限のしつけは子犬の段階で行うのが望ましいと言われていますが、環境やルールが変わることで新しい行動規範を覚える必要があるため、成犬になっても継続的なしつけが必要だからです。
犬が年を取るにつれ、しつけるのに時間がかかるかもしれませんが、忍耐強く指導を続けて新しいルールを習得させることが重要です。
子犬のうちにしつけておいた方がいいこともある
トイレなどの「最低限のしつけ」は子犬の段階で学んでおくことが望ましいと言えます。
子犬は環境への適応力が高く、好奇心旺盛で学習能力が高いため、しつけを行うのに適しています。
特に、生後3週齢から12週齢までの期間は「社会化期」として知られ、外部の刺激に対して受け入れる力が高まる時期です。
この「社会化期」を過ぎると、未知のものに対して警戒心や恐怖心を抱く傾向が強まるため、しつけが難しくなることがあります。
犬をしつけるために覚えておくべきポイント
犬のしつけには覚えておくべき重要なポイントがあります。
これらのポイントは、しつけに自信のない方や過去にしつけに失敗した経験のある方だけでなく、どの犬の飼い主にも役立つものですので、ぜひ参考にして下さい。
①愛犬とは上下関係ではなく親子関係を築く
ひと昔前の犬のしつけは、「飼い主の方が立場が上だと見せる必要がある」という意見が広く普及していました。
しかし、最新の研究により、犬と飼い主との関係は上下関係ではなく、むしろ人間の母子のような親子関係であることが明らかになっています。
そのため、犬を厳しく叱ったり、体罰を与えたりして恐怖で支配しようとするのは良くありません。
この方法では「恐怖」で問題行動を抑制しているだけなので、恐怖の刺激がなくなると再び問題行動を起こしてしまいがちです。
さらに、この方法は愛犬との関係を悪化させ、かえって問題行動を増長させることがあります。
一度ですべてを理解できませんので、正しい行動を習得させるためには、愛情をもって愛犬に繰り返し教えることが大切です。
②叱るのではなく褒める
犬のしつけにおいて、好ましくない行動を取った際には叱るのではなく、犬が求める行動を取りやすい環境を整え、できたら思いっきり褒めてあげましょう。
叱る方法は飼い主と犬の関係を悪化させるだけでなく、動物福祉にも悪影響を及ぼすことがあります。
犬の脳には報酬系回路と嫌悪系回路という2つの神経回路が存在しており、報酬系回路の割合が優勢であるため、犬が望ましい行動を取った際に褒めることで、しつけをスムーズに進めることができます。
「そそう」や吠え、甘噛みなどはどの犬にも起こりうることですので、焦らず繰り返し教育していきましょう。
③犬種の特性や性格の個体差を尊重すること
世界中には約800種類もの犬が存在し、それぞれ性格や体質、好みや嫌いなことは一頭一頭違います。
犬種ごとにも性格傾向があるため、これを参考にしつけの方法を個別に検討することが大切です。
例えば、トイプードルは甘えん坊で飼い主から離れるのが苦手な傾向があるため、お留守番のトレーニングには時間がかかるかもしれません。
柴犬のようにひとりの時間を好む犬は、留守番に苦手意識を持つことは少ないですが、抱っこや体を拘束されることを嫌う傾向があるので、トリミングや診察などがニガテなケースも多いです。
このように、個別の特徴を理解することで、しつけの成功率がぐんと高まります。
必ず教えたい「トイレ」のしつけ
犬を家族として迎える場合、まず最も重要なしつけの一つが「トイレトレーニング」です。
家中で排泄されると掃除が煩わしく、さらに衛生的ではありません。また、お散歩以外(お外以外)で排泄できないと、天候が悪い日や外出が難しい状況の際に問題が生じる可能性があります。
人間社会で生活するにあたって大切な「トイレトレーニング」について解説します。
トイレトレーニングの手順
トイレトレーニング中は愛犬をフリーにせず、散歩、食事、遊びの時間以外はクレートで休ませるようにしましょう。
その後、以下の基本的なしつけ手順を繰り返します。
1.トイレの時間になったらクレートから出す
愛犬の生活リズムを把握し、トイレの時間をメモしておき、時間になったらクレートから出しましょう。
子犬は「月齢+1時間」を我慢できる目安とされています。
2.トイレへ誘導する
愛犬が好きなおやつやおもちゃなどを使って、トイレへ誘導します。
排泄しない場合はクレートに戻し、30分後に再度試みます。
特定の言葉やコマンドを使用することで、排泄の成功体験を思い出して排泄しやすくなるかもしれません。
3.排泄したらほめてごほうびを与える
愛犬が成功した場合、おやつやフードなどをごほうびとして与えます。
これにより、愛犬は「ここで排泄すると良いことがある」と覚え、トイレで排泄することができるようになります。
犬は自然にトイレの場所を覚えることは難しいため、トイレトレーニングは必要不可欠です。
トレーニング中には失敗を許さないように注意し、ハウスの近くにトイレを置くなど、環境の工夫も大切です。
通常、1か月程度で多くの犬がトイレトレーニングを習得しますが、個体差もあるため忍耐強くトレーニングを続け、愛犬に合った方法を見つけていくことが大切です。
トイレを失敗してしまったときの対処法
トイレを失敗しても、決して叩いたり怒ったりしてはいけません。
特にトイレトレーニングが未熟な段階では、予定の場所以外で粗相したり、トイレからはみ出して排泄することが考えられます。
しかし、怒り過ぎると犬は排泄行為自体を怒られたと誤解し、飼い主から隠れてトイレを済ませる可能性が高まります。
粗相があった場合は言葉を発したり相手をしたりせず、出来るだけ早く掃除をし、その場にニオイが残らないように心掛けましょう。
また、日本犬など一部の犬種は室内での排泄を嫌うことがあるため、このような個性も理解し、トイレトレーニングを進めていく際に考慮する必要があります。
まとめ
犬のしつけは、人と犬が共に幸せに暮らすために欠かせない要素です。
しつけの方法は多岐にわたり、犬の性格に合ったアプローチが必要となります。
しつけに自信がない場合、しつけ教室やプロのドッグトレーナーに相談することを検討しましょう。