犬はもともと噛む習性があるため、ある程度は仕方のないことではありますが、噛んで良い物とそうでない物を教えてあげなければ、愛犬が人間社会でうまく共生していくことはできません。
この記事では、犬の噛み癖となる原因や噛み癖を直す方法、しつけの際の注意点について詳しく解説します。
この記事の特別監修者 – 犬のしつけ専門家
廉
小さい頃から動物が居る暮らしをしておりその中で犬の生態を知りたいと思いドッグトレーナーを目指す。
愛犬をお世話するだけでなくコミュニケーションをとり一緒に楽しめる様にお手伝いさせて頂ければと思います。
保有資格
・公益社団法人愛玩動物飼養管理士2級
・全日本ハンドリング検定3級
・OPDESドッグアドバイザー
目次
犬が噛んでしまう原因
・ケガや病気による痛みや不快感
・歯の生え変わりのため歯茎がかゆい
・知らない人への恐怖心
・ストレスが溜まっている
1つずつ見ていきましょう。
ケガや病気による痛みや不快感
普段はおとなしく噛まない犬が突然噛んでくる場合、ケガが病気による痛みや不快感が原因の可能性があります。
怪我や病気によって触れられると不快感から噛んでしまうのです。
このような様子が見られた場合には、早めに獣医師に相談して診察を受けましょう。
歯の生え変わりのため歯茎がかゆい
噛み癖の原因の一つとして、歯の生え変わりに伴う痒みが原因だと言われています。
一般的に生後5〜7ヶ月の時期になると、乳歯から永久歯に生え変わります。この過程で、歯が生え揃う前に口の中で違和感を感じ、歯がかゆくなるのです。
このかゆみは一時的なものであり、成長とともに収まる傾向があります。
しかし、この段階で噛むことが習慣化してしまうと「噛み癖」として残ってしまう場合があるので早めに正しい行動を教えてあげると良いでしょう。
知らない人への恐怖心
突然知らない子供がやってきて急に撫でてきたら、いくら普段おとなしい犬でも驚きます。
そして、自己防衛の本能から反射的に噛みついてしまう場合があります。
見知らぬ人に近づかれることは犬にとって非常に恐怖を感じる体験なので、急に攻撃されたように感じてしまうのです。
ストレスが溜まっている
ストレス解消のために、周りの物を手当たり次第に噛むことがあります。また、退屈しのぎとして何かを噛みたいというケースもあります。
犬の噛み癖を直さなければいけない理由
犬の噛み癖を直さなければいけない理由について解説します。
愛犬のお手入れ(ケア)が難しくなる
犬のブラッシングや爪切りなどのケアを行おうとする度に噛まれてしまうため、適切なお手入れができなくなることがあります。
噛み癖がある犬の場合、トリミングサロンでも施術を断られることがあるため、できるだけ若いうちに噛み癖を直すのが望ましいでしょう。
まわりの人にケガをさせてしまう
子犬の時期であれば噛みついても甘噛み程度で済むこともありますが、成犬になると事態は異なります。
成犬に噛まれた人や他の動物が縫合手術が必要なほどの大ケガを負う実例もあるのです。
さらに、散歩中や外出先で他の人に噛みついてしまった場合、過失傷害罪に問われる可能性があるだけでなく、治療費や損害賠償の請求を受けることも考えられます。
犬の噛み癖を直すしつけ方法
犬の噛み癖をしつけるための方法を一つずつ解説します。
噛み癖の「しつけ」はいつからできる?
犬が甘噛みを始めたら、早めにしつけを始めることが大切です。
一般的には生後3〜4ヶ月頃の乳歯が抜けて永久歯が生え始める時期に、犬は家の中のさまざまなものに甘噛みを始めます。
甘噛みは時間が経てば収まりますが、中には癖になってしまい長く続く場合もあるため、必ずしつけが必要です。
しつけは日常的に行うことが重要ですので、根気強く「噛んではいけない」という教えを繰り返し伝えていきましょう。
根本的な原因を解消する
運動不足でストレスが溜まっている場合は、運動時間を増やすなどストレスの軽減策を考えましょう。
また、皮膚トラブルによる痒みでイライラしているようであれば、獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
噛み癖を直すしつけ方
基本的には噛みつかれても反応しないか、静かな声で注意を促すことが大切です。
遊ぶときにはおもちゃを使用し、犬の注意をそれに向けるようにするとうまくいきます。
犬に噛んでもいいものとわるいものを教える
犬にとって家電や家具と犬用おもちゃ、どちらを噛んだら良いのかを理解するのは難しいことです。そのため、どれが噛んでも良いものなのかを人間が教えてあげる必要があります。
愛犬におもちゃを与え、それを噛んで遊んでいる時に積極的に褒めるようにすることで、飼い主に褒めて欲しくて「おもちゃ」を噛むようになるでしょう。
犬の噛み癖を直すときのしつけのポイント
噛み癖を直すしつけの際に重要となるポイントを紹介します。
実際に効果的なしつけを行うために、これらのポイントを覚えておくことで、しつけをスムーズに進めることができます。
子犬のうちに噛み癖を直す
成犬は噛む力だけでなく体全体の力も増しているので、飼い主にとって取り扱いが難しくなります。そのため、成犬になってから噛み癖を直すのは大変です。
したがって、子犬の時に噛んでいいもの、噛んだらダメなものをしっかり教えてあげることが肝心です。
また、犬は興奮すると噛む習性があるので、家の中でもリードを付けて犬が興奮し過ぎて噛みつかないようコントロールしてあげるのも良いでしょう。
ただし、愛犬を放置した状態でリードを付けておくと、リードが家具やドアに絡まって怪我をする可能性があるため、ハウスリードをする際は必ず飼い主が愛犬の側にいる状態で行うようにしてください。
大声を出したり叩いたりしない
しつけの際には大声で叫んだり、愛犬の体を叩いたりすることは避けましょう。
このような行動は犬に対して恐怖心を植え付け、警戒心や防御反応を増大させてしまう可能性があります。
たとえ犬が問題行動をしたとしても、感情的に怒らないことが大切です。根気強く継続しながら、飼い主さんの態度や言葉で望ましい行動を教えてあげましょう。
犬にとって噛むことは習性の一部
犬の噛むという行動は、必ずしも悪いことではありません。
犬は自然界で兄弟犬や母犬とのコミュニケーションの一環として噛みあうことがあるからです。犬の習性を理解してあげることも必要となります。
犬のひどい噛み癖に困ったらドッグトレーナーに相談を
「なぜ噛むのか、理由がわからない」といった悩みを抱える飼い主さんは、一度、専門家に相談してみることをおすすめします。
ドッグトレーナーや「犬のしつけ教室」を提供する動物病院を訪れ、アドバイスをもらうことで、スムーズにしつけを進めることができるでしょう。
体罰や力ずくのトレーニングは噛み癖を悪化させる可能性があるため、優しくかつ効果的なトレーニング方法を教えてくれるトレーナーを選ぶことが大切です。
なお、しつけ教室を利用する際の注意点として、犬だけを預けてしつけを委託するタイプの教室は避けるべきだといえます。
なぜなら噛み癖などの問題行動は、飼い主と犬との関係性を反映しているため、犬がしつけを受けても、飼い主との関係性が変わらなければ同じ問題が続いてしまうからです。
したがって、家族全員が協力して問題に取り組む必要があります。
まとめ
ストレスや恐怖、歯が生え変わるためのかゆみなど、噛み癖の原因となる要因は多岐にわたります。犬が人間と共に生活するためには飼い主さんが「噛んではいけないこと」を愛犬に教えることが必要です。
その際にはただ闇雲に叱るのではなく、愛犬の気持ちに寄り添い、一緒に改善していきましょう。愛犬との楽しい生活を送るためにも、しっかりしつけを行うことが肝心です。
成犬の噛み癖を改善するには、根気と時間が必要です。家族全員が協力し、しっかり向き合い、改善に取り組みましょう。